宗教について 〜 人の生と死を考える 注71

公開: 2023年3月27日

更新: 2023年4月16日

注71. 分業

社会で実施されなければならない様々な行為(仕事)を、一人の人が全てを行うのではなく、特定の人が特定の行為だけに専念し、何人かで全ての仕事を完結するするやり方を、「分業」と呼びます。古代の社会で言えば、社会階層に従って、それぞれの階層に属する人々に与えられる仕事は、階層ごとに違っています。王には王の仕事があり、神官には神官の仕事、農民には農民の仕事がありました。このように、仕事を専門化して、それぞれの仕事に専念することで、同じことを繰り返すことにより、仕事を上手に行えるようになります。それは、社会全体の効率を向上させます。

その様に、同じ行為を繰り返すことで、行為の結果として得られる効果を良くすることや、一つ一つの行為に必要となる時間を短くすることが期待できるからです。18世紀に「経済学」の基礎を作った、スコットランドの倫理学者であったアダム・スミスは、「分業」が仕事の質と効率を高めることを見出し、産業革命の基礎となる考え方を確立しました。さらに、スミスは、ロックの労働価値の考え方を応用して、分業の1つの作業に注目して、一人の作業者が、一定の時間で、その作業を完了できるとして、その作業に投入された労働の価値を、労働時間を指標として把握できることを見出しました。

この作業と作業時間との関係が一定であるとするとき、この比率を変えるのが、20世紀の米国で発生した生産性の考え方です。つまり、同じ作業をする時、作業時間が短くなる作業方法は、生産性が高くなるとする考え方です。

参考になる読み物